明宝の歴史を紐解く「夜んなびのいま」

6月19日(木)、明宝歴史民俗資料館にて「歴史学習会 夜んなびのいま」が開催されました。

「明宝の昔を知り未来を考える学び塾」をモットーに、これまでにもさまざまな題材で開催されており、第8回目となる今回の題材は「ワラ細工」。地域資源調査を行う明宝ツーネットとしても、地域の達人が4人も集まるとなれば、潜入しないわけにはいきません。同日開催の「明宝ミニバレーボール大会」をご遠慮し、夜の歴史民俗資料館に行ってきました!

今回集まったのは、明宝地域の「達人」のお父さん4名と、「明宝文化財保護協会」のメンバー15名ほど。

机の上に並べられれたいくつかのワラ細工と、「1ワ」のワラ束を囲んで話が始まります。

ワラの「1ワ」は、おおよそワラの株3つかみ程(昔と今では肥料などがよくなり株の大きさがかなり違うので、一概には言えませんが)。手を広げた長さを「ひとひろ」というように、昔の単位は体の長さや動作が基準になっていて、わざわざ定規を準備しなくても計れるんですね。作業中は計ってなんかいられないので、そちらの方が理にかなっています。今の小学校の算数でも教えてくれたらいいのに!

次から次へと出てくるワラ細工の中で、ひときわ印象的なものが「蚊火(かび)」。木綿の布や朴葉、ヨモギなどを稲ワラで筒状に丸めたもので、昔の蚊取り線香です。腰から下げて先端に火をつけ、草刈りなどの作業をしていたそうです。

ある程度お話を聞いて、「ワラの目」の準備ができたら、夜の資料館ツアーへ!ここ明宝民俗資料館は、所狭しとたくさんの民具が収蔵されており、毎回毎回来るたびに「こんなものあったっけ!?」という新しい発見があるくらいです。今回はこの数ある民具の中から「ワラ細工」にスポットを当てて、ワラでできたものを見つけては、達人から話を聞きます。

資料館の中をぐるっと一周したら、再び達人への質問タイム。話はワラ細工から、昔の田んぼ仕事へ…。「田植えの時期は、麦の収穫もあるし、蚕もあるしととにかく目の回る忙しさだった!」「よその田んぼの手伝いに行ったことも。一日の日当はワラ2ソクだった(!)」などなど、今では想像できないおもしろい話がどんどん出てきます。

一番印象的だったのは、「ワラを大事にしんとその家は潰れる」という話。昔は一年間でひとり60~70足のゾウリが必要で、履き潰したゾウリもそのまま捨てないで「蚊火」に再利用したりしていた。ワラ細工をするときは「ワラをすぐって」ゴミをとるが、そのゴミも「わら布団」にしていた…などなど。ワラは馬のエサにもなるし、ワラ縄、ムシロ、コモや履物、昔はなんでもワラ!ワラはとても万能な素材だったんですね。

馬で代掻きをする際にも、「ロープでは馬に傷がついてしまう」ので、ロープよりもワラ縄でマンガを引かせた方がいいそうです。新しい素材よりもワラの方が優れていたはずなのに、なんでなくなってしまったんでしょうか。そういう部分での価値の見直しが今後必要とされそうです。

お話を聞きながら「明宝の歴史を紐解き」、今の価値と照らし合わせて「未来へ結ぶ」。夜んなびのいまの意義はとても大きいなぁと感じました。次回に期待大です。

(地域おこし実践隊(明宝ツーネット事務局)柏)

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