よもやま話からみる明宝の植物たち〜タニウツギ〜

 

5月ももうすぐ終わりですね。田植えも終わり、小さな苗が並ぶ田んぼにはたっぷりと水がはられています。あぜ道は綺麗に草が刈られ、緑の香りが気持ちのいい風に乗って漂ってきます。そんな穏やかな明宝の里山を車で走っていると、山沿いの斜面にピンク色の花を見つけることができます。
この花はタニウツギといい、スイカズラ科タニウツギ属の落葉小高木で、別名「田植え花」とも呼ばれています。

 

タニウツギ

 

「奥美濃よもやま話」の1巻、第51話の「卯の花の咲くころ」の一節にこのような描写があります。

 

 

『雪のように白い卯の花に続いて、谷空木(タニウツギ)の桃色がかった、あでやかな赤い花も咲きました。かすかな風にそよぐ空木の花ごとに、小さな虫たちがさかんに出入りしています。ちょろちょろと音を立て始めた谷川沿いに、白い、赤い空木の花がべったり咲いています。』

 

「卯の花の咲くころ」は、気良の里に向かう途中で牛から落ちてしまった神様が、空木の枝で目をついて牛嫌いになってしまうお話です。
気良には牛にまつわる不思議な話がいくつもあります。

 

タニウツギは山沿いの斜面によく見られます。
初夏の眩しい日差しの中、周囲の若葉の鮮やかな緑に囲まれてピンクのきれいな色がよく映えて綺麗なので、みつけたたらぜひ近くで見てみてください。